緑化の維持管理(メンテナンス)

一般的な植物は、独立栄養生物に分けられ、生育に必要な有機化合物を二酸化炭素(CO2)や重炭酸塩と、光エネルギーを利用して合成します。

例えば、光合成の反応は

6CO2 + 12H2O+(光エネルギー) → C6H12O6 + 6H2O + 6O2(収支式)

で表し、植物は産生されたC6H12O6(ブドウ糖)を生活エネルギーとして利用します。

植物は生育に必要な塩類を主に根から吸収しています。そして光合成で作られたエネルギーをもとに呼吸・生育をします。植物の光合成についてはご承知の方も多く、日当たりの良い場所で水さえやっていれば植物は育つと誤解される事もあります。実際、野山の植物は人為的に肥料を与えずとも育っていますし、放って置いても、道に草は生えます。
しかし、それらは生態系の中で生物の生成・分解のバランスの上で成立っており、また、景観や意匠を望めるような状態にコントロールされているものではありません。建物の緑化のように、人為的に区切られた場所では、植物に必要なものは、やはり人為的に供給する必要があります。そして、常に生育が良い状態になるようにコントロール・維持していきたいものです。

潅水・施肥について

自動潅水装置は予定された日時に一定時間の潅水を行うことが出来ます。
潅水量については、季節・設置条件によって異なります。
置肥・手潅水の多くはさまざまな問題が発生します。そのためにも自動潅水装置(液肥混入機込み)が必須となります。
夏季は肥料・潅水量ともに要求量が多くなりますが、過湿はよくありませんので潅水量・回数に注意しましょう。


日射量について

光は植物の生育上で最も大きな要因の一つです。
ビルの谷間などは場合によっては、緑化ができないことがあります。
一日の日照時間が4時間を越えない場合は樹種の選定を慎重に行い、日照時間が1時間に満たない場合は、 時間の経過とともにどんな植物を選んでも、どうしても衰退してしまうので対策が必要でしょう。


病害虫・防除について

春~秋にかけて3~4回程度の薬剤散布が必要となります。発見してから準備・作業をした場合、後手になり被害が大きくなります。壁面緑化の場合、建築物の意匠に関わり、枯れなどによる景観の劣化は大きな問題となります。修復には費用も時間もかかりますので、予めメンテナンス・スケジュールを計画しておくことが必要でしょう。


剪定・清掃について

春と秋など年2回程度必要です。ツル性の植物は生育も早く、上下の植物を覆い日射を防ぎ、欠株を引き起こすことがあります。また、植物は枯れなくとも、葉が更新するため水周りに枯葉がたまることがあります。水周りの掃除もスケジュールに入れておきましょう。


高層建築のビル風・室外機などについて

設置位置が高層でなくともビル全体の高さにより、強い風が吹くことがあります。
強い風のもとでは気孔が閉じてしまい気孔蒸散が行われなくなります。蒸散が行われなくなると浸透圧の関係で植物が必要とする栄養を含んだ水が吸い上げられなくなり、光合成に必要な二酸化炭素も取り入れられなくなってしまいます。ビル風の通り道や室外機の噴出しには設計の段階からできるだけ避けた方がよいでしょう。
強い風が吹き続ける環境は植物の生育に良いとは言えません。


何もなくても定期点検

毎年のように、例年にない異常気象現象が起きています。それに伴い病害虫の発生も予測できないことがおこる可能性があります。定期的な見回りを計画しましょう。